今更創作漫画の解説を試みる

いつだったか、「モルモットの命」を描きました。
それがあまりにも、

理解不能

なもんで…。これは解説いるなと。
てことでどぞ。

少年は、人体実験のモルモットです。この世界ではまだ、人体実験を不法と定められていません。少年が実験台となった実験は終了していますが、後遺症の調査の為、組織で監視されています。頬の痣は、実験の痛みにもがいた時のものです。
ご飯は、まともなものが出ていません。なので、わかりにくいですが少年の手はやせ細っています。
檻の外に出てしまうと、それは脱走となって射殺されます。少年はこのことを知っています。少年が耳を塞いでまで聞きたくないものは、銃声ではなく、他のモルモットの悲鳴です。銃声は聞き慣れてしまっています。

少年の言う外とは、「檻の中ではないどこか」です。
「いつか出たいなあ」「どうすれば出れるのかなあ」

少年は、外を知りません。生まれた時から、ずっと組織の中です。
希望を、紙に綴っていきます。
ごちそう？と疑問に思う見た目です。しかし、いつも豆と骨が渡されている少年には、ごちそうでしょうね。鳥なんて、滅多に食べられません。少年は嬉しさから檻の中で飛び跳ねます。
この間、また脱走者がいます。射殺され、悲鳴を上げますが、少年は嬉しさからそれが聞こえていません。
「ああ、おいしいな」

痛い、辛い、苦しい。自らの目で見てきたものの知識です。
死ぬ、生きるは、少年自身が殺したのでしょうか。
死ぬは、殺されること。生きるは、檻の中にいること。
果たして少年は賢いのでしょうか。

外に行く方法。普通に正面突破は殺されますね。穴を掘ると言っても、床はコンクリートです。じゃあ、どうやって外へ？
――死ぬんです。「檻じゃないどこか」は、満たされていますよね。少年にとっての死ぬは、恐怖ではありません。賢いといえど、恐怖心がなければわからないことです。
ご飯をゴミと知り、絵にかいた外に嫌悪感をおぼえ、想像して希望を抱く自分が嫌になり、そして少年の身は軽くなります。
死んでから見た景色は、真っ黒。死んでも尚意識があるわけではないので、これは少年が思う外です。

少年は外を知りません。外にあるものなんて、わかりません。
だから、何もない、真っ黒なんです。
少年は、自分の最後の夢を叶えましたが、それは、正解だったのでしょうか。